一日一捨、4日目はワイヤレスイヤフォンを捨てる。
SONYのワイヤレスイヤフォン、WI-C200。
何年か前にスマホを買い替えたとき、ショップで一緒に購入したものだ。
この頃はよく音楽を聴いていた。けれど、なにを聴いていたのかよく覚えていない。
サブスクでいろんな曲を定額で聴けるようになったせいかおかげか、一曲一曲に浸る密度はずいぶん下がったように思う。
メンタルを病んでいた小中学生時代、私は本を読めない代わりに音楽に縋った。
お年玉やおこづかいを握りしめて、フラゲ日の学校終わりにCDショップへ走って、買ったシングルやアルバムを宝物みたいに抱えて帰った。
ミニコンポにCDをセットして、歌詞カードを開いて、言葉と旋律を噛みしめる。
ひと通り聴き終わったら今度はCDの音源をmp3プレーヤーに入れて、通学のあいだ何度もリピートしてその世界に浸っていく。
まだまだCDが主流だった、CDでしか音源を手に入れられなかったあの頃、私はほんとうに音楽を聴くのが好きだった。
ニューリリースを心待ちにしているあいだ、既存の作品を何度も何度も流して気持ちを落ち着ける。
CDを買うのもレンタルするのも買い切り・従量制だったあの時代、子どもの私が手に入れられる音楽はそんなに多くなくて、追っているアーティストなんて掌で数えられるくらいで、だからこそひとつひとつの作品を深く愛でられるゆとりがあった。
私は不便で不自由だったあの時代を、今でも懐かしく愛おしく思う。
こんなことを言うとセンチメンタルだって笑われるだろうか。
サブスクリプションサービスはとても便利だし、利用する側としても助かる。
けれどなぜだろう、私は昔ほど音楽を聴かなくなってしまった。