子どものころから海に対する憧れがある。
どうしてなのか具体的には分からないけれど、木々のおい茂る山のほうで育ったせいかもしれない。
個人的に海は命の始まる場所であり終わる場所というイメージがあって、すべてを許してもらえるような気がする。
私さえその気になれば、いつだってここではないどこかへ連れて行ってくれそうな懐の広さとでも言うのだろうか。
自分が死んだら海に散骨してほしいと思っているけれど、現状は孤独死して無縁仏になりそう。
話が逸れた。
私はとにかく海の魔力に取り憑かれたんじゃないかと思うくらい海に引き寄せられることがある。
数年前、1週間の放浪でたどり着いたよく知らない町の、地元の人しか行かないようななんにもない浜辺で、日が暮れるまでよせては返す波を眺めていた。
私は今でもときどきその体験を思い出しては、あのときのゆるやかな時間の流れや春先のやわらかい日射し、白い砂浜とさざなみの音にもう一度身をゆだねたくなる。
それでこの週末も、海を求めて知らない町へたどり着いた。
(ちょうど昨日チェキを衝動買いしたので高台から撮ってみたけれど、ファインダーもないし天気も悪くてうまく撮れなかった。)
曇り空で季節も違うし数年前の体験とは程遠いけれど、海をみたらささくれた気持ちが少しだけ凪いだ。
やっぱり海が好きだなと思う。
感情の限界を感じたときは、これからも私はこうして衝動的に海を求めて飛び出してしまいそう。
ほんとうは港町に住みたいけれど、海の近くにすんでしまうと慣れてしまって興味を失ってしまうんだろうか。
いつまでも少しだけ遠くにあるから、憧れは美しいのかもしれない。