久しぶりに本を読み終えた。
今回は小説ではなく、最近気になっている短歌関連。
谷川俊太郎・岡野大嗣・木下龍也の3人(トリオ市川)による「連詩」と、どういう心境で作っていったかを語り合う「感想戦」が収録された本。
恥ずかしながら浅学なのでお三方の作品ともあまり知らないまま読んだけど、作品にそれぞれの作者の作風がちゃんと出ていておもしろかった。個人的には特に岡野大嗣さんの作品が好きなものが多かったかな。ちなみに本のタイトルも岡野さんの作品から取られている。
ベランダに見える範囲の春になら心を許しても大丈夫
岡野大嗣
連詩の始まりとなる最初の歌。
めちゃくちゃ共感できて、この時点で既に岡野さんのファンになった。
感情の乗りものだった犬の名に今はかなしみさえも乗らない
木下龍也
最初に読んだときはまったく理解できなくて、どういう意味だろう?と頭をひねった。けど感想戦を読んでからなるほど!となり、そこからどんどん味わいが増した。
谷川俊太郎の作品も引用したいのだけど、詩はなんか量が多くてこんなに書いていいのかな…と不安になったのでやめておきます。
個人的にはレコードのやつと砂漠のやつが特に好きだった。
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岡野大嗣
この歌はなんか、読んだ瞬間から鈍器で殴られたみたいな気持ちになった。感想戦でも書いてたけど、最近の若者(主語がでかい)って確かにこういうとこある気がした。
でも、なんというか、もうちょっと人生諦めずにがんばろうかなと思った。
そして「連詩」もよかったけど、「感想戦」って普段あまり目にしない感じ(まあ私が知らないだけでいっぱいあるかもしれない)でとても興味深く読んだ。
国民的詩人でも人気歌人でも分からないことはあるんだなあ、と当たり前のことに安心したり。まあ作品の読み方に決まった正解なんてないんだなと。好きに読んだらいいし、分からないときに分からないと言うのも恥ずかしいことじゃないのかもしれない。
それからあとがき的なやつもおもしろかった、ショートエッセイみたいな。特に木下さんのお話は、私たちと変わらない市井の人なんだなーみたいな親近感があってよかった。
そんな感じで、あまり読んだことのないジャンルの本だけど最初から最後まで楽しめた一冊だった。
これを機に短歌にもっと触れていきたい。詩はまだ苦手意識があるけど。
おすすめの詩集とか短歌集とかあったら教えてください。